建設業法改正A 生産性の向上
建設業法改正について、前回「働き方改革」について見てきましたが、今回は「生産性の向上」について見ていきましょう。
建設関係の労働者は、およそ328万人と言われています。このうち60歳以上は約82万人で25%に達しています。一方30歳未満は約36万人と11%しかいません。近い将来の人手不足の問題は、より深刻になってくると思われます。そこで、数に限りのある人材を有効的に活用するための法改正が行われます。
生産性の向上
工事現場の技術者に関する規制を合理化
元請の監理技術者に関し、これを補佐する制度を創設し、技士補がいる場合は複数現場の兼任を容認
建設工事の現場では、様々なトラブルに対応するため、各現場に1人監理技術者と呼ばれる資格者を配置しなければなりませんでした。監理技術者は複数の現場を兼任することができず、全ての現場に配置するのは、建設業者にとって非常に大きな負担でした。
今回の改正で、建設現場の生産性を向上させるために、監理技術者は、一定の要件を満たす補佐する者(技士補)を現場に置いたときは、複数の現場を兼任できることになりました。
下請の主任技術者に関し、一定未満の工事金額等の要件を満たす場合は、設置を不要化
従来、下請け業者は、工事現場に主任技術者を置く義務がありました。しかし主任技術者は、工事が技術的に適正に施工されるよう管理する役割であり、再下請する側の主任技術者が、再下請先の施工管理をするのであれば、再下請先は主任技術者を置く必要はないはずです。今回の改正で、特定専門工事に関しては、当事者間で一次下請けの主任技術者が、再下請の技術上の管理を行うことに合意したときは、再下請先が主任技術者を置かなくてもいいということになりました。
建設工事の施工の効率化の促進のための環境整備
従来、資材の欠陥による施工不良があった場合、認可行政庁は、建設業者に対して指示を行うのみで、資材の製造業者に対して改善勧告や命令を出すことはできませんでした。今回の改正で、認可行政庁は、建設業者だけでなく、資材の製造業者にも改善勧告や命令を出すことができるようになりました。