家族信託事例A 障がいを持つ子の事例

障がいを持つ子の両親は、自分たちが亡くなった後の子供の将来について、不安を持っていると思います。一般的には成年後見制度を利用し、家庭裁判所の監督の下で財産の管理を行うことになりますが、家族信託を利用することにより、できる事の幅が広がります。事例で見てみましょう。

 

障がいを持つ子の事例

父親Aさん(55歳)と母親Bさん(53歳)の長男Cさん(25歳)は、重度の障がいを抱えていて、判断能力がなく、日常生活でもサポートが必要な状態です。他に子どもはいません。両親は、長男Cさんが今後暮らしていくために、不自由のない資産を残す予定ですが、次のような希望を持っています。

  1. 自分たちが亡くなった後、長男の入居する施設などお世話になる人たちに、きちんと報酬を支払い、しっかりと長男Cさんの面倒を見てほしい。
  2. 長男が亡くなったとき、財産に余りがあれば、そうした施設やお世話になった方々に渡したい。

@については、成年後見制度を利用して実現できますが、Aについては成年後見制度では対応できません。家族信託を利用するとどうでしょうか。

 

家族信託を利用しない場合

成年後見制度により、@については家庭裁判所の監督の下で、成年後見人がしっかり対応します。しかしAについては、長男Cさんが亡くなったときの財産をどう処分するかを後見人が決めることはできません。Cさん自身は意思能力がないため、遺言を残すことはできません。また、両親が遺言でできることは、自分の相続の指定だけなので、長男の相続を決めておくことはできません。長男が亡くなった後の財産は、他に相続人がいなければ、国庫に帰属することになり、施設やお世話になった方々に渡すことはできません。

 

家族信託でできる事

家族信託を利用し、父親Aさんを委託者兼第一受益者、母親Bさんを第二受益者、長男Cさんを第三受益者とし、信頼できる親戚等を受託者に設定します。信託内容に、第三受益者Cさんが亡くなったときの残余財産の帰属先として、お世話になった施設等を指定することができます。これにより、両親の希望@とAを両方叶えることができます。こうした信託の形式を「福祉型信託」と呼びます。受託者としては、信頼できる親戚以外にも、福祉団体・NPO法人といった非営利団体など、組織として対応できる先もふさわしいと思われます。また、両親が認知症になってしまったとしても、このスキームは継続できます。図にすると下記のようになります。

 

委託者    父親Aさん
受託者    親戚(福祉団体やNPO法人も可)
第一受益者  父親Aさん
第二受益者  母親Bさん
第三受益者  長男Cさん

 

 

上記の家族信託により、両親が健在の間は受託者は両親のために財産を管理し、両親が亡くなった後は長男Cさんのために財産を管理し、長男Cさんが亡くなった後は、お世話になった介護施設等へ残余財産を寄付することができるようになります。また両親が認知症になってしまっても、対応できます。このように家族信託は、成年後見や遺言ではできないとあきらめていたことを実現することができます。

 

 

 

 

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